ビジネス便利屋のここだけの話 -3ページ目

しゃべる人、しゃべらない人の損得

いつもはお昼休みの時間にブログを書いていますが、今日は諸般の事情により、夜、書くことになりました。明日はまた、昼休みにアップロードさせていただく予定です。


 さて、先々週の金曜日から足掛け二週間にわたって書き続けた苦情・クレーム処理シリーズ。


 ずっと引っ張ってきましたが、そろそろ一区切りということで、最後に「苦情処理に効く名言」シリーズで締めるつもりです。昔から名言集が好きで、いろいろ読みましたので。


 ところで、名言というのは、古くは紀元前から残っているのもありますね。


 有名なところではソクラテスの「汝自身を知れ」、シーザーの「ブルータス、お前もか」etc…。


 ローマの作家、パブリウスの「最高に到達せんと欲せば、最低から始めよ」なんかは、実に奥の深い言葉だと思います。

 驚くことに、これらは二千年以上前の言葉です。科学技術はめまぐるしく進歩していますが、人間本来の精神性は昔とさほど変わっていないのではないかと思わせます。今見ても、全然古くないですよね。


 腹心の部下に裏切られ、会社を乗っ取られた創業社長は、「○○専務、お前もか」と嘆きそうです。今、この瞬間も、そう言って嘆いている人は大勢いるかもしれません。


 先日、苦情処理法について、「ピンチに陥ったら、下手に口をきくより、「沈黙は金」と考えた方がいい場合もある」と書きました。調べてみたら、「沈黙」についてさまざまな名言があるんですよ。


 たとえば、亀井勝一郎の沈黙の理解があるように、沈黙の怒りや反抗もある。黙っている人を畏れなければならない」

 確かに、人は本当に怒ると黙ってしまうかもしれない。怒りでスーッと血の気がうせて青くなり、じっとこちらを瞬きしないで見つめる人。ホラー映画に出てきそうで、怖い、怖い。

 また、イギリスの評論家・ハズリットは、以下のように言っています。

●「沈黙は会話の偉大な話術である。自分の舌を閉じる時を知る者は馬鹿でない」

 彼が活躍したのは、18世紀。そんな昔に、苦情処理法について含蓄ある意見を述べている人もいるんですね。確かに、失敗したとき、ペラペラ言い訳の言葉をまくし立てるのはかっこいいもんではありません。まさに、「沈黙は金」ということ。

●「心にもない言葉よりも、沈黙の方がどれほど社交性を損なわないかもしれない」

 これを言ったのは、フランスの思想家・モンテーニュ。


●「口に才ある者は多くのことに拙なり」

 これは江戸時代の儒学者・伊藤東涯。口がうまいばっかりで全然役に立たないということを言いたいのでしょう。「口は災いの元」ともいいますから。


 これだけ、「沈黙は金」的な名言を並べてしまうと、明日から口を開くのが嫌になりますね。確かに、世の中、しゃべりすぎる男は軽薄と取られ、嫌われる傾向にあります。


 女性が抱かれたくない男のランキングを見ると、出川哲郎、松村邦洋といった口から先に生まれてきたような男たちが常に上位を独占しています。


 それに対して、高倉健や渡哲也は、沈黙派の代表でしょうか。彼らが嫌いという日本人もまた非常に少ないことは確か。そういえば渡哲也さん。少し前、石原プロのロケ現場で、所属俳優が人身事故を起こしたんですよね。そのとき、被害者に土下座して謝ったというのは有名な話です。


 渡哲也さんみたいな大物俳優に土下座して謝られれば、誰も何も言えないですよね。そしてすぐ、ドラマの制作を中止しました。この処置もまた見事というほかありません。しかもいい訳ひとつ言わずに、今後の対応策を決定しました。まさに沈黙派の面目躍如たるものがあります。


 寅さんで有名な渥美清さんも、プライベートでは寡黙な人だったというし…。


 今盛んにマスコミをにぎわしている元横綱の兄弟。しゃべる弟に沈黙する兄。しゃべる弟は少しかっこ悪い。沈黙する兄に分があるように見えるのは、私だけでしょうか。


 でもなぁ。ビジネスマンは口を開いてしゃべらないと仕事にならないんですよ。とくに営業マンは、沈黙していたら商売上がったりだし…。


 どうすりゃいいんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~


老化防止に鍼灸は効くか

昨日は、昭和大学の公開講座で聞いた鍼灸の効用について書きました。今日も、ビジネスの話題からちょっと離れ、健康をテーマに書いてみたいと思います。


 ところで昨日、ブログを書いてから自宅の近くの公園へ行ったんですよ。


 下の写真ではわかりにくいかもしれませんが、日比谷公園ぐらいの広さのある大きな公園です。


 昨日は日曜日ということもあって、大勢の人たちが来ていました。


 高齢の人たちも大勢来られています。なかには、八十歳近いおじいさんがジョギングをしています。車椅子で介助してもらって来られている人もいました。若いときはそれほど大きな違いはないのに、年を重ねるにつれ、どうしてこんなに健康に差がついてしまうのでしょうか。


 六十歳を過ぎた頃から、人間は、健康の大きな分岐点を迎えるような気がします。


 年をとって体の自由がだんだん利かなくなってくるのは仕方のないことですが、できることなら健康でいたい。


 八十歳過ぎても健康で、海外旅行や趣味の時間がもてるのはもちろん、もし若い人に混じって働けるたら最高に充実した人生になるんじゃないでしょうか。


 最近、老化防止についていろいろ考えてます。徐福伝説じゃありませんが、これは数千年前から人類がもっとも興味を持つテーマですね。


 さて、おととい鍼灸の話を講座で聞いていたら、最近、鍼灸は血液をサラサラにする効果のあるということがわかったそうです。


 確かにそうですよね。鍼灸は、昨日のブログで書いたように神経に作用する。とくに自律神経に作用するらしい。自律神経というのは、内臓に命令を伝達する神経です。血管も内臓の一種。だから血管を流れる血流にも好影響を与える。すなわち、鍼灸は血管を拡張し、血液量を増加させるそうです。


 以前、私は成人病予防についての文章を書いたことがあります。いろいろ調べてみて、血管を拡張したり、血液がサラサラになったりということが、すごく健康に大事だということがわかりました。


 脳卒中や心筋こうそくといった成人病は、これらが要因となって引き起こされることが多いからです。


 そもそも血液は、ご存知のように体中に栄養や酸素を運び、かつ不要な老廃物や炭酸ガスを排出する役目をもっています。それを円滑に行うために、豊富な血液の流れが絶対必要。


 これと老化がどう結びつくのか。ここに老化の原因といわれる物質があります。


 それは、テレビの健康番組でも有名な「活性酸素」。これは細胞を傷つける物質とも言われています。


 活性酸素は、体内の細胞や組織などを酸化して、いわゆる 鉄サビのように変えてしまうらしい。活性酸素によって身体の細胞や組織が酸化して変質し、機能が衰え、人は老いていく。まだ学説段階らしいですが、かなり老化に活性酸素が関与していることは間違いないようです。


 たとえば、皮膚のしわ、たるみ、物忘れ、認知症、白内障、関節炎、その他肉体機能の低下全般に…。


 活性酸素をなんとかすれば、老化を遅らせることができるのではないか。


 活性酸素は、血液の流れとも密接な関係があるそうです。たとえば、ストレスなどで血液の流動性が低下したり、一度途絶えたりして、再び血流が再開されると大量の活性酸素が生まれるらしい。


 また、同じ血液量が流れても、流れがギクシャクしていれば、これもまた多くの活性酸素が生まれるとのこと。


 そうか。そうすると、ストレスが多ければ多いほど早く老いるという理屈。では、ノー天気な人ほど、若いということ? 落ち込みやすいA型としては、早くなんとかしなければ人より先に老いてしまいそう。


 そういえば以前、人は気分の持ちようでストレスを感じないですむとブログに書いたことがありました。と、いうことは、気分の持ちようで、本当に肉体的にも若さを保つことができるという理屈にもなりますね。


 鍼灸は、血液の流れを改善し、増大させるそうです。当然、活性酸素の発生が低く抑えられますよね。


 鍼灸院の肩を持つわけではありませんが、一度、鍼灸治療を受けてみたいと思わせる昭和大学の公開講座でした。これからも老化防止、若返りをテーマにいろいろ調べてみたいと思います。


家から徒歩5分の公園。東京23区内です。家は古いけど、近くの公園だけを自慢してます。

林試の森  

鍼灸はなぜ体に効くのか

昨日の土曜日、近所にある昭和大学の公開講座に出席しました。私の住んでいる区の教育委員会と大学が提携して、毎年、春と秋にそれぞれ2回ずつ、開催するのです。


 先月、「近視と網膜はく離」についてブログに書きましたが、今日はその二回目。病気がテーマの公開講座だけあって、毎回、六十歳以上の人たちがほとんどでした。講師の大学の先生が、うちの学生がこれくらい熱心に講義を聞いてくれればとため息をつくほど、皆さん熱心に話を聞いています。


 昨日は実際に、鍼灸治療の実演も行われて、すごく面白かった。質問のコーナーでは、時間が足りなくなるほど大勢の人が、マイクで質問します。そのすべてが、講座をしっかり聞き、内容を理解していなければできないような質問。やはり日本の高度成長を支え続けてきた年代はやはりすごい。


 私は以前、3年間ほど整形外科医院の事務長をしたことがあります。人手が足りなかったので、事務の仕事以外にも、レントゲンの助手やリハビリの器械のセッティングなどなんでもやりました。門前の小僧、なんとやらで、わりと医学に詳しくなり、暇なときには専門的な医学書なんかも読んでます。一応、医療コンサルティング会社の雇われ社長も兼任していますので。


 そのへんのところで、面白い話もいくつかありますが、いづれブログでご紹介することもあるかもしれません。


 さて、今日は、昨日の公開講座のテーマのひとつ、鍼灸治療について。


 私は鍼灸治療の経験はありませんが、機会があったら一度治療を受けて見たいと思っています。それにしても、前から不思議に思っていたのは、なんで鍼を刺したり、灸をすえて温めるだけで痛みをやわらげるのかということでした。


 つまり、刺激するのは体の表面だけなんですよ。それなのに、筋肉や神経、ましてや内臓まで効くという。不思議だと思いませんか?


 別に不思議ではない。鍼が神経を刺激するからだ? 確かにそうなのですが、次の説明を聞いてう~んと納得しました。


 皮膚と神経は、人間が作られるとき同じところから出発した。今でも密接な関係にある。だから、皮膚を刺激することによって、神経に働きかけることができる。

 人間の体というのは、もともとは受精卵というひとつの細胞でした。その細胞の複製がどんどんコピーされ、約60兆集まって人間の体ができている。しかも、受精卵は細胞分裂して三層構造になるらしい。一番内側が、循環器や血液、骨、筋肉に。その外側が内臓に。そして一番外側が、皮膚や感覚器、神経になるんだそうな。


 皮膚と感覚器、神経は同じところから出発しているんですな。講師の先生は、選挙のとき、候補者が握手戦法をとるのは、有権者の皮膚を刺激し、神経に直接訴えかける効果的な方法だと話していました。確かに、心理学の本にも、同じようなことが書いてあります。


 話を元に戻しますが、その60兆の同じ細胞の集合体が人体なんですって。ここから、からだはどこも同じだという東洋医学の思想が生まれている。東洋医学の診察って、体全体を診ますもんね。そしてトータルバランスを考えて治療する。


 それに対して、西洋医学は、体は部位によって違うという考え方だそうです。そういえば病院は、脳や内臓ごとに診療科が分かれていますね。


 さて、鍼灸は体にどんな効果をもたらすのか? ノートにメモしてきましたよ。


●炎症反応を抑制する。

 たとえば、慢性関節リウマチ。これは、関節の炎症と痛みが次第に全身に全身に広がる一方、進行すると 変形して身体障害がでる病気です。


 鍼灸は、痛みを抑えるとともに、骨の破壊を抑制する効果も実験で立証されたそうです。


 鍼灸って、筋肉痛を緩和するぐらいにしか思ってなかったのですが、関節炎の発症と進行を抑制する効果があるとはちょっと驚きでした。ただ、その作用メカニズムは不明とのこと。もちろん、そのほかの炎症系の疾患にも効果があるようです。


●痛みの信号が脳に上がるのを抑制する。

 痛みというのは脳が感じるもので、その情報が脳へ伝わる道を遮断してやれば、痛みは感じないのだとか。有名な鍼麻酔というのがこれですな。



 以上までは、なんとなく鍼灸に対するイメージの延長線上にあったのですが、もうひとつ興味深い効果の説明がありました。


 昨日の講座では、はっきり言及していませんでしたが、個人的な考えでは、どうやら老化防止にも効果がありそう。NHKの「ためしてガッテン」でやっていた老化防止効果と同じ効果が鍼灸にはあるみたいなんですよ。


 その点について、また明日書きます。

超こわい上司対策法

 昨日、伊達政宗が豊臣秀吉の苦情をうまく処理した話を書きました。苦情というのは少しこじつけで、本来は権力者からの圧迫というのが正しかったのかもしれませんが…。

 

 それにしても昔の苦情処理は、大変だったんでしょうね。なにしろ、うまく納得してもらわなければ首が飛びます。命がけの苦情処理。


 でも、今も苦情処理をこじらせて、会社からクビを切られたという例もある。いずれにしても、首の皮一枚を担保にしてやりとりする姿勢は、昔も今も変わらないのかもしれません。


 昨日、伊達政宗のエピソードを持ちだしたのは、私にも似たような経験があったからです。ちょうどNHKで、「独眼竜政宗」をやっていた頃ですから昭和62年だったと思います。その頃は銀行に勤めて、まだ5年目だったでしょうか。上司にすごく怖い支店長がいて、行員たちを恐怖のどん底に陥れていました。


 融資窓口に座っていた私は、一年上の先輩と、支店長を豊臣秀吉になぞらえてよく話をしました。ドラマでは、勝新太郎が秀吉を演じ、すごい威圧感と迫力がありましたので。


 当時の模様をシナリオ風に書きますと…


私   「本日の太閤殿下のご様子は、いかがでございますか?」

先輩  「貴殿の稟議書をご覧になり、かなりご立腹のご様子であった」

 私、おろおろする。


私   「(ゲェッ、やばい)そ、それは濡れ衣でございまする。得意先係の○木さんから頼まれ、あの人の言うとおり稟議書を書いただけでございます」

先輩  「そんな言い訳が太閤殿下に通用すると思っておいでか? あのご立腹のご様子では、よくて遠島。悪くて、切腹は避けられぬやもしれぬ」

私    「(冷や汗)では、逃亡したらいかがあいなります?」

先輩  「殿下のご気性なら、日本全国、草の根分けても探し出し、厳しく吟味の上、打ち首獄門となるであろう」

 私、呆然とした表情。やがて逃げ切れぬとあきらめ、達観した表情に変わる。


私   「致し方ござりませぬ。拙者、覚悟はきめ申した。潔く出頭し、刑場の露と消えるでありましょう」

 私、白装束を着て(着たつもりで)、支店長席へ向かう。そして支店長の前で平伏し、言上する。


私    「太閤殿下のご尊顔を拝し奉り、恐悦至極に存じ上げ奉ります。このたびは申し上げたき議がございまして、まかりこしました」

 支店長、鮫のような鋭い目を「私」にむける。どうしてこんな稟議を書いたのか、理由を聞く。


私   「されば、申し上げます。すべては私の一存で、かような仕儀にいたりました。このうえは、いかようなお咎めがございましても、従う所存にござります」


 支店長の顔のアップ。覚悟を決めた悟りの表情の「私」のアップが続く。 

             

  ここでCM。 

          


 と、ちょっと誇張して書きましたが、当時の心境はまさにこんな感じでした。でも、先輩とは、ホントに上記の時代劇口調で話してました。いわゆる、「独眼竜政宗ごっこ」。


 面白いのは、自分にとって不利な報告を、以上のように白装束を着たような気持ちで潔く報告すると、意外に怒られないんですよ。 


 だから、ヤバイと思ったらすぐ神妙な顔で報告に行く。するとあまり怒られない。別の先輩は、お客さんからの苦情を支店長に報告しないで処理しようとしたことがありました。しかし、それが発覚。もう大変でしたよ。まさに修羅場。思い出したくないから、具体的描写は割愛しますが…。


 しかし、苦情処理の現場によっては、潔くぺらぺらしゃべりすぎて、かえって揚げ足をとられ、状況が悪化することもある。上記の方法は、苦情が出た直後やまだ発覚していない状態のときには効きますが、追求され、どうしようもなくなってからでは、開き直りと取られる危険性もあります。


 時期を逸してしまうと、逆効果になることもある。苦情処理の現場で、何を言っても悪く解釈されそうなとき、言い訳としかとられそうもないときもあります。


 こんなときは、つぎの法則が生きます。 これが、プラスアルファの苦情処理法、その8。


●ピンチに陥ったら、下手に口をきくより、「沈黙は金」と考えた方がいい場合もある。


 もちろん、ただ黙ってしまうのはダメで、弁解の言葉を100吐くよりも、苦情に至った原因を早急に修復すること。口よりも誠意を行動で示すことが大事なのだと思います。


  たとえば、納入した商品に不備があってクレームがでたら、その日のうちに新しい商品を持ってお詫びに訪問する。新築したばかりの家が、当初の希望とは違う部分があるとクレームが出たらすぐ工事業者とともに訪問して手直しする。そのあとで、じっくり説明するということですね。


 ここのところを書いていると、どうしても以前見た映画を思い出します。内容は忘れましたが、高倉健さん主演の映画で、ダム建設の責任者の役どころでしたか。何かの不手際があって、住民が高倉健さんに苦情を言う。


 健さんは、だまってお詫びするばかり。一言も弁解しない。そして、黙ったまま、苦情の原因をひとりで修復に行くんですよ。かっこよかったなぁ。その姿を見て、住民は健さんに心を開く。


 便利屋さんも、かくありたい。(← 独眼竜政宗から出た流行語「梵天丸もかくありたい」をもじったのですが、無理でしょう) 

プラスアルファの苦情処理法 2

さて、昨日仮卒業と言っておきながら、単位不足?で卒業できなかった「プラスアルファの苦情処理法」。今日は第二弾です。


 その前に、昨日ご紹介したプラスアルファの苦情処理法、その7


●自分に不利なことは、前置きなしで、ズバリ用件に入ると、相手はそれ以上攻撃する気になれない。

 …というフレーズについて。


 昨日の夜、いつものようにテレビや新聞をじっくり見ました。いつもながら多くの事件が世間をにぎわせています。自分がわかっていて犯した犯罪は論外ですが、人間だからうっかりミスで起きる事件も結構ある。ちょっとしたミスを犯すことは、誰にでもあること。ただその立場によっては、重大な事件に発展することもあります。


 ただその事件が、さらなる大きな問題に発展するかどうかは、ミスを犯した人間や彼の所属する組織のその後の対応いかんだと思います。


 もしそれが、 うまく隠せそうで、運が良ければ発覚しないかもしれないと思ったら…。


 隠しているのが知れたら大問題に発展しかねない事柄なのに、早い段階で自分の否を認め、いさぎよく謝罪しないケース。いろいろな事件報道を見ていると、人為的なミスよりも、ミスを隠匿しようとして大問題に発展したケースがあまりにも多いことに驚かされます。


 こういう人たちを見ていると、やはり社会的地位が高く、高収入の人が多いようですね。いわゆる失うものが大きい人たち…。


 自分から否を認め、謝罪しても、地位や高収入を失うことになるかもしれません。だからといって、臭いものに蓋をして知らんぷりをしているのが発覚したら、社会的信用まで失ってしまう。


 自分は、失って困るものをそれほど多く持ったことがないからわからないかもしれません。でも、これらのなかで、一番無くすのが怖いのは、社会的信用だと思います。地位や高収入を一時失っても、本人の努力次第で這い上がることも可能です。


 ただ一度失った社会的信用を取り戻すというのは、かなり大変ではないでしょうか。


 よく、身ぐるみはがれて裸で倒産した元社長が、再起して再び成功することがあります。この場合、地位や高収入は失ったものの、社会的な信用は失ってなかった。もちろん取引先や自分の従業員に多大な迷惑はかけたでしょうが、人間としての道義にはずれたことはしなかった。


 会社をひとりで再起させることはできません。社員は社長一人でも、お客さんや取引先、金融機関の職員など、協力してくれる人は絶対必要です。社会的信用さえ失っていなければ、人は戻ってきてくれる。


 ミスを犯したときやビンチに立たされたときの潔さ、正直に自分の誤りを認める姿勢って、結構大事だと思います。


 それに、日本人は、いざというときの「潔い態度」が好きなのではないかと思うのです。


 ちょっと話が本質から外れるかもしれませんが、源平時代以降の武士の一騎打ち。忠臣蔵で、吉良上野介を討ち取ったあと、四十七士の切腹の潔さ。佐倉義民伝etc…。


 私の勝手な思い込みかもしれませんが、伊達政宗が豊臣秀吉に対して行った苦情処理法はまさに完璧だったんじゃないですかね。


 若き日の政宗は、秀吉の再三の上京の指示を無視して、東北地方の土地を侵略していました。当然秀吉の怒りは爆発寸前で、政宗が小田原へやってきたときは周りの誰もが、切腹、よくても領土没収ぐらいに考えていたようです。


 やがて政宗は、どうにか秀吉に謁見させてもらう機会を得ます。あくまで謁見で、裁判の場ではありません。


 ここで、皆さんご存知のように、政宗は秀吉の前に死を覚悟した白装束で現れます。秀吉が沙汰を下す前に、死を持って自分の罪を償うと宣言したのでした。こうまで潔く出た相手に、あらためて切腹を言いつけたら、自分の度量のなさを宣伝するようなものだ。


 …と、秀吉が考えたかどうかわかりませんが、秀吉は政宗が侵略した領土だけ返すようにという大人の解決法を選んだのでした。


 歴史にもし、は禁物ですが、政宗が白装束で現れなかったら、NHKの大河ドラマで「独眼竜政宗」は放送されなかったでしょう。そして主役の渡辺謙も、トム・クルーズと共演できず、バットマンの映画にも出られなかったかもしれませんね。


 政宗の使ったプラスアルファの苦情処理法は、以前お話した、以下の法則ではなかったかと考えるのですよ。


○こちら(政宗)に落ち度があるときは、相手(秀吉)の期待を上回る謝り方をすれば誠意を印象づけられる。

○自分(政宗)に不利な切腹という沙汰について、白装束で覚悟できているということを相手(秀吉)に示し、ズバリ用件(今回の参陣に遅れた罪の処罰)に入ると、自分の責任の強さを相手に訴えられる。



 苦情処理の仕方ひとつで、自分の人生はおろか、歴史を大きく変えることにもつながるのですな。


 苦情処理についてはまだ書けそうなので、明日も続きます。

プラスアルファの苦情処理法

 先週の金曜日からずっと、「苦情処理でファンを作る法」についてご紹介してきました。 


 昔、ビジネス書を徹底的に読んで写し取った「苦情処理」の項目には、まだ触れていないところもたくさんあるのです。でも、ぐちゃぐちゃに入り組んでしまって、あらためて体系的にまとめなおすにはすごい時間がかかりそう。


 いずれご要望がございましたらまたご紹介いたします。明日になるとまた気が変わるかもしれませんが、とりあえずこのテーマは仮卒業ということで。


 それで今日は、昨日からの続きのプラスアルファの苦情処理法についてアトランダムにまとめて書きたいと思います。

 

 ところで、昨日は、プラスアルファの苦情処理法、その5、


●反論するときは、質問の形を取ると、生意気な感じを与えない。

 というフレーズを書いたところで終わってしまったのでした。


 そうですよね。人は誰でも、「~しろ!!」と命令されるより、「~したほうがよくありませんか?」あるいは、「~したほうがいいんじゃないの?」と質問の形をとって言われた方が素直に相手の言うことを受け入れやすいだろ!!


 …と、言われるより、「相手の言うことを受け入れやすいのではないでしょうか」と言われたほうが読者の方は、気分いいですよね。言葉遣いは湾曲だけれども、しっかり自分の言いたいことを相手に知ってもらうことができる。相手に受け入れる素地さえ作ってもらえれば、こちらはじっくり理詰めで相手の考え方を変えてもらうこともできるわけです。


 では次にプラスアルファの苦情処理法、その6。


●相手に不快感を与えそうなことは、最初にその旨を断わると、相手の不快感は好感に逆転する。

 たとえば、こっちが忙しいとき、突然携帯電話にかけてきて、相手の都合も考えないでダラダラと話をする人っていませんか? まあ、友達だったら許せるけど、とくに親しくない相手だったら不快ですよね。


 こんなとき相手が、「お忙しいところ失礼します。今、お電話大丈夫でしょうか」と、前もって言われると、突然の電話の不快感は好感に変わることがあります。


 そういえば、何の予告もなしにかかってくるセールスの迷惑電話。まず、「今、お電話して大丈夫でしょうか?」とは聞いてこない。いきなり、自分の言いたいことをまくしたてる。こんなとき、「今お仕事、大丈夫でしょうか?」と迷惑電話のセールスマンが気遣ってくれれば、かなり好感に逆転するんですけどねぇ。


 とは言っても、私だったら、「お気遣いどうもありがとうございます。はい、大丈夫ではありません。忙しいです。それでは失礼」 と、ガチャンと切ることに変わりはないから同じか。


 でも、なかなか礼儀正しい、迷惑電話のセールスマンだったな。と、少しは見直し、その日一日良い気分で過ごせるかもしれない。


 ほかにもバリエーションで、こんな使い方はどうでしょう。相手に不快感を与えるような反論をしなければならないとき…


「もちろん、ご存知だとは思いますが…」 「少し気分を悪くさせるかもしれませんが…」 「釈迦に説法みたいなことかもしれませんが…」 「お怒りはごもっともですが…」


 なんてフレーズを前につけるだけで、その後の相手の受け答えがよくなってくるから不思議です。



 そして、プラスアルファの苦情処理法、その7。


●自分に不利なことは、前置きなしで、ズバリ用件に入ると、相手はそれ以上攻撃する気になれない。


 結構、この法則は、使えますよ。たとえば、仕事でミスったけれでもまだ上司が知らないとき。あるいは、自社の商品やサービスに問題があるのをお客さんが知る前にこちらが知ったときなどにです。


 お客さんも上司もまだ気がついていない。しかし、発覚するのは時間の問題。運が良ければ発覚しないかもしれないが、もし隠しているのが知れたら大問題に発展しかねない事柄には有効かもしれません。


 こういうときは、下手に隠し立てせず、自首したほうがいいです。上司の前に背を伸ばして立ち、神妙な顔で、「申し訳ございません。実は大変な失態を犯してしまいました」とやる。すると、上司は、ただならぬ雰囲気に緊張し、「何をやったんだ」と聞く。


 この時点で上司は心の準備ができているから、何を言っても最悪の事態になることは避けられる。


 お客さんも同じです。上司と二人、菓子折りを持ってお客さんの会社や自宅へ謝りに行く。お客さんはまだ問題に気づいていないから、驚いて、「何かあったのですか?」と聞く。


 そこで、「すいません。誠に申し上げにくいのですが、実は今日伺いましたのは…」と神妙な顔で経過を説明するのです。こうまで正直に、自分の否を認め、いさぎよく謝罪に来ている人には、人間、それ以上、攻撃する気にはなれないのではないでしょうか。


 う~ん。苦情処理の話題は、これで仮卒業といいましたが、結構まだまだ書けますね。やっぱり前言撤回。朝令暮改の典型ですね。


 …と、いうことで、明日も同じテーマで続きを書きたいと思います。上記の方法をさらにグレードアップし、まわりに清廉潔白な人だと思わせる方法。

苦情・クレーム処理でファンを作る法

 こんにちは。昨日とは違って今日は雨。でも、昨日みたいに一日外回りの日じゃなくてよかった。


 今日、外を仕事でまわっているビジネスマンの方、会社訪問の学生さん、ご苦労様です。


 ところで、昨日の午後、東京中央区新川の路上を歩いていたんですよ。テレビでご存知の方も多いかもしれませんが、「ビル外壁タイルの崩落事故」の現場を目撃しました。その通りは、仕事で必ず月一回は訪れる場所です。ちょうど昨日がその日。


あと、二時間早く訪れたら、巻き添えになっていたかも…。下が、携帯で撮った現場の写真です。


 何でも、雑居ビル(8階建て)の外壁のコンクリートタイル(計約900キロ)が崩れて約10メートル下の路上に落下したのだとか。


 下を歩いていた女性(40)と乗用車に破片が直撃。女性は頭に重傷を負い、車を運転していた男性(53)も急ブレーキをかけたはずみでひざにけがをしたらしいです。


 コンクリートタイルと壁面の接着が不十分だった疑いがあり、警視庁が業務上過失傷害容疑でビル管理会社から事情を聴いている。 (asahi.comより抜粋)


 二時間以上たっても、現場は野次馬で黒山の人だかりでした。(自分も野次馬の一人ですが…)


 それにしても怖いなあ。道を歩いていて上から1トン近いコンクリートが降ってきたら防ぎようがありませんよ。死者がでなかったのが不幸中の幸い。現場を見てしまうと、これから始終上を見ながら歩きたくなってくる。


「上を向いて歩こう」などと、くだらないことを言っている場合じゃありません。(←お前以外誰も言ってないだろ?)


 ビルは築15年ということですが、見た目にはそんなに経っていると思えないほどきれい。とても外壁が崩れそうな建物には見えません。しかもビルの所有者は02年、建築基準法に基づいて3年に1回の定期報告をした際、外壁については「異常なし」と報告していたのだとか。


 詳しいことはまだ調査中らしいですが、どこへ苦情・クレームが行くんでしょうね。でも、責任者は、こういう事故での苦情・クレームでファンを作ってほしくない。人命がかかっている場合は、完璧に、苦情を発生させない姿勢で仕事に臨んでもらいたいものです。



 さて、今日も商品やサービスへの苦情処理法をご紹介しましょう。題して、プラスアルファの苦情処理法、その3です。


●商品やサービスへのクレームは、商品研究、新商品開発への貴重な参考意見として評価すると、お客さんの自尊心を満足させ、うまく解決する場合が多い。

 具体的には、お客さんからクレームがあった場合、商品の入手経路やどこでそのサービスを受けたのか、担当者は? という点を詳しく聞くことです。なるべく上位の階級にある人がお客さんから直接聞き、「申し訳ございませんでした」と深くお詫びする。


 そして、商品開発担当者やサービスの現場部門の責任者とともに、今後の商品開発、サービス開発の参考意見にさせていただきたいと、メモをとりながら熱心にお客さんのクレームについて耳を傾けるのです。


 すると不思議なことに、クレームを持ち込んだお客さんが、彼らとともに新たな商品開発を行っているんだという一体感が生まれてくるんですね


 お客さんとしても、これだけ自分のクレームに耳を傾けてくれた、そして自分の意見が今後の商品開発に生かされるんだという自尊心が満足されるのです。それだけで、クレームを持ち込んだお客さんは、その会社のファンになってしまうというケース。

 しかし、以上はこちらの商品やサービスに問題があったというケースです。しかし実際のケースはそればかりではない。お客さんの明らかな誤解によってクレームをつけるケースもあります。


 自分の誤りに気がつかないで、会社のそれらに腹を立てている。この場合、お客さんが言いがかりをつけていると自分でわかっているケースは別です。あくまで、自分が正しいと信じてクレームを言っている場合。


 この場合、「おっしゃるとおりです」なんて言ったら、こちらが間違っていたと認めてしまうことになります。ここは当然、反論しなければならない。しかしまともに反論したら、また火に油をそそぐことになりかねません。


 お客さんの怒りをかわしながら反論するにはどうすればいいか。次のようにすればいかがでしょう。プラスアルファの苦情処理法、その4。


●反論したかったら、いったん相手の意見を受け入れてからにすれば、反抗的に見えない。

 たとえば、いきなり反論するのではなく、お客さんのクレームを誠心誠意お聞きして、その不信感にいたった経緯を納得した上で、「おっしゃることはごもっともです。当社の製品でご不快なお気持を持たれたことについては深くお詫びいたします。ですが…」


 と、いう形で続ければ反抗的には見えないのではないでしょうか。そして、「ですが…」のあとの反論にも、ちょっとした神経を使うと、お客さんはすんなり反論を受け入れてくれます。それが、プラスアルファの苦情処理法、その5。


●反論するときは、質問の形を取ると、生意気な感じを与えない。


 具体例を書こうと思いましたが、ちょっと今日はまた長くなってしまいました。この続きはまた次回。


中央区新川のビル外壁、崩落現場。


新川、タイル崩落現場

うまい叱られ方の秘密

 今回は久々の深夜ブログです。寄る年波か、今、頭にうかんだことをすぐ書いておかなければ、忘れそうになるのです。明日になったらケロッと忘れているかもしれない。


 そんな恐怖に駆られて深夜、しこしこブログを書くことにしました。 


 さて、前回、苦情処理をする上において、絶対動かせない基本的なステップについて触れました。確認のため、もう一度、ご紹介しますと…


1.まずはじめに、心をこめてわびる。
2.言い訳や弁解をしない。
3.お客さんの苦情の内容を誠心誠意聞く。
4.苦情の内容をしっかり把握し、原因をつかむ。
5.解決策を考え、すぐ行動する。


 …でしたね。そして、こちらに落ち度があるときは、上記の1の部分で相手の期待を上回る謝り方をすれば、誠意を印象づけられ、ファンになってもらえる、と。


 さて今回は、2と3についてのグレードアップした方法について述べたいと思います。つまり苦情をうける姿勢。


 相手が感情的になっているときは、ひとまず相手の言い分を認め、「間」を置くことが必要だと前に述べました。苦情をうけるときは、このように、ひとまず相手の言い分を認めることが大事なんですね。


 要するに相手の言い分を認めるような苦情の聞き方。


 私の後輩に、○田という銀行員がいるのですが、彼はホントに苦情の聞き方というか、叱られ方がうまい。 もう、叱られ方の天才 !!


 彼の場合、お客さんではなく上司から叱られことが多いのです。支店長のデスクの前に立ち、全身を耳にして、お小言を聞いている。(いや、聞いているふりをしている)


 ちょっと猫背な前かがみで、神妙な顔で両手をきちんと前でそろえ、相手の目は見ず、口元をじっと見つめる。一言も反論はしない。ただ黙ってお小言を聞く。そして時折、相槌をうつ。それも半端な相槌ではない。絶妙のタイミングで、首を縦に振り、「おっしゃるとおりです」と全身で、支店長の言葉を心に刻み込もうと努力する。


 彼のそういうしおらしい態度を見て、怒っていた支店長もいつのまにか穏やかな顔になっていきます。そしていつも、「期待しているんだから、今度は気をつけてよ」と最初とは打って変わった晴れやかな顔で、彼を解放する。


 文章に書くとちょっとイメージがわかないかもしれませんが、実際彼の叱られ方、苦情の受け方を見ていると、もう徹底していて、絶対苦情をこじらせないだろうなと思わせるものがあります。


 とにかく反論はしない。そして相手の立場に立ち、相手に誠心誠意、心を耳にして聞く姿勢を伝えること。それだけでも、随分あとの展開が、違ったものになるはずです。



 多胡輝氏の「しぐさ、動作、ふるまいの心理学」という本の中に、叱られ方のうまいテクニックについて次のフレーズがあります。これがプラスアルファの苦情処理法のその2。


●叱責を受けるときは相手の話に反応すること。少なくとも外見上は真剣に聞くそぶりをして、話に合わせてうなづいたり、言葉で相槌を打つことが大切である。

 件の○田君。支店長の前で、なんと1時間でも2時間でも叱られている。でも、お小言から開放され、自分の席に向かって歩いているときには、もう何事もなかったかのようなさっぱり顔。くるっと振り向いた瞬間に頭を切り替えるみたい。


 以前、一緒に飲んだとき、彼にうまい叱られ方の秘訣を聞いたことがあります。


 彼曰く、

「いや、叱られているときは、何も考えていませんよ。小言が左の耳から入って右の耳へ抜けていくだけ。そのとき、ちょっとリズムを感じるんですよ。小言がラテンミュージックみたいに聞こえるんです。その音楽に耳をかたむけ、その調子に合わせて相槌を打つだけですね。気持ちの切り替え方ひとつで、誰にでもできるんじゃないですか?」


 だめだこりゃ。次ぎ行ってみよう!!! (←いかりや長さん風にお願いします) 

苦情処理でファンを作る法2

 今日からまた一週間が始まりますね。それにしても昨日は暑かった。昨日は、仕事で一日中パソコンの前に座っていたのですが、パソコンが熱い!!!


 私のパソコンは、4年前に買ったちょっと古めのノードブックなのですが、なんでこんなに熱いのだろう。新しいパソコンは、これほど熱くないのかな。


 前に座って画面を見ているだけで、汗がだらだら流れて目に入る。まるでジョギングしているみたい。昨日の夜、体重を量ったら、前日より1キロも減ってましたよ。


 今度、パソコン・ダイエット法という本を書こうかなぁ。興味ある出版社の方、ご連絡ください、なんて。


 さて、先週から書いている「苦情処理でファンを作る法」。今までは、どこのビジネス書にも載っているベーシックな対処法を述べました。


 今日は、それプラス心理学的にアップグレードした方法について書きたいと思います。苦情というのは本来マイナスの側面を持ってます。それがプラスに変わったらすごいですよね。災い転じて福となす。ピンチがチャンス。塞翁が馬。 


 でも、驚くような特別な方法ではないと思いますよ。こと、苦情処理に関しては、「非常識な苦情処理法」なんて存在しない。


 怒っているお客さんにはさまざまなタイプがいます。一人に成功した方法が、他の人に絶対成功するかなんてわからない。下手をすると火に油をそそぐ結果にもなりかねません。苦情処理は、最大公約数の人たちにとって、うまい対応だと思える基本を尊重しつつ、その中でうまくアレンジしてアップグレードしていく必要がある。


 苦情処理をする上において、絶対動かせない基本的な考え方については前回触れました。その延長線上の考え方で、苦情処理には、以下のステップで行うのが望ましいと言われています。


1.まずはじめに、心をこめてわびる。
2.言い訳や弁解をしない。
3.お客さんの苦情の内容を誠心誠意聞く。
4.苦情の内容をしっかり把握し、原因をつかむ。
5.解決策を考え、すぐ行動する。


 この基本線は、苦情処理の王道ですね。これは動かせない。この基本線を維持しつつ、いかにお客さんをファンにしてゆくか。


 まず、1の「心をこめてわびる」。こちら側に落ち度がある場合、不利益をこうむったお客さんは、当然謝罪を受けると思っています。その期待をもって、苦情を申し立てているともいえるでしょう。ここで大事なことは、お客さんがこちら側の謝罪の仕方について期待値をもってみていることですね。


 たとえば、昨日と似たような例で恐縮ですが、ラーメン屋でラーメンを食べていて、中に虫が入っているのを見つけたとき。気にも留めずにそのまま食べちゃう人ってあまりいませんよね。店員に、「虫が入ってるよ」と誰でも苦情を言うでしょう。


 そのとき、「こんな嫌な思いをさせられたんだから、このラーメンは当然、無料だよな」とお客は考える。食べる前だったら、新しいラーメンに交換させ、なおかつ無料。苦情を言いながら、そういう期待値をお客さんは持つ。


 しかし、新しいラーメンを作って出してくれたが、しっかり代金を請求するっていうのはまだいい方で、苦情を無視して、「言いがかりをつけるのか」と何の対応もしないまま代金を請求されたらどうでしょう。


 大声を出して苦情を言う人は大勢いると思います。しかし、たかがラーメン一杯。そう思って、しぶしぶお金を払って店を出る人も多いのではないでしょうか。だけど、顔は平静を装ってても、頭の中は怒り心頭。この恨み、晴らさずおくものか、とさっそくその店の悪口を言いふらすに違いありません。


 それに対して、店主がわざわざ出てきてペコペコ頭を下げ、「本当に申し訳ございません。新しいラーメンをすぐお作りいたします。もちろん今日のお代は結構です。それで、お詫びといってもなんですが…」と、餃子にチャーハンなど無料で追加してくれ、なおかつラーメンの無料券なんかくれたらどうでしょうか。きっと、そのお客さんは目を丸くして、かえって恐縮してしまいますよね。


 すっかりそのお客さんは、ラーメンに虫が入っていた事を忘れ、そのラーメン屋のファンになり、毎週通いだす。そして、あのラーメン屋、なかなかサービスが行き届いてるよ、って周りの人に伝えるかもしれません。

 苦情をいうお客さんは、相手側のミスの程度によって、謝り方の期待値を抱いている場合が多いのです。この場合、謝り方ひとつで、お客さんの苦情後の印象は大きく変わってくる。そこで、プラスアルファの苦情処理法その1。


●こちら側に落ち度があるときは、お客さんの期待を上回る謝り方をすれば、誠意を印象づけられ、ファンになってもらうことも可能。


 これはほんの一例です。「苦情処理でファンを作る法」は、このあとも続きます。

日本一まずいラーメン

今日は日曜日。梅雨も休日なのか晴れですね。しかも暑いです。


 昨日おとといと苦情処理について書いてますが、今日はちょっとコーヒーブレイク、また自爆ネタでお茶をにごそうかと思ってます。


 でも、苦情やクレームと似たような事柄なので、いわゆる番外編かも。


 昨日、ラーメン屋さんの苦情処理について書きましたが、どうしても忘れられないラーメン屋さんがあります。 多分、私の長い人生経験において、一番まずいラーメンだったと思うので。


 場所はちょっとはばかられますが、東京都心の一画。現在IT活動の中心地となりつつある場所の大通り沿いにその店はありました。今から4~5年前の話で、先日その場所へ行ってみたらその店はもうありませんでした。


 私がなぜその店に入ってしまったか。それは立地と店構えの古さです。東京でも有数の大通りに面し、おそらく30~40年は営業を続けてきたであろう威厳がその店構えに感じられました。


 この場所で長い期間、生存し続けてこられたのだから、きっとうまいに違いないと考えたのです。時間は正午近く。店の前の人通りの多さから、店内は混んでいると予想して、私はその店に入りました。


 がら~ん。 えっ?! どうして? お客は一人しかいないじゃん。

 30人近く入れる店内のカウンターに、中年の男性がひとりだけ。それだけでもやめておくべきだったのに、私は訝りつつもカウンターに腰掛け、味噌ラーメンの大盛りを注文しました。せめて普通盛りにしとけばよかったと後で後悔するのですが。


 店主は、60歳ぐらいの親父。私の注文を聞くと、フッと自嘲気味に笑みを浮かべました。そのあと、アベックが店内に入ってきます。合計4名。とうとう私がその店をでるまでほかには誰も入ってきませんでした。 


 都心の一等地にある間口の比較的大きなラーメン屋。しかも昼食時のかきいれどきに、お客がたったの4人ですよ。しかし店内は、そのアベックがしゃべりまくって結構うるさかったです。


 待つこと20分。やっと味噌ラーメンが私の前に姿を現しました。それを見て、絶句。思わず店主を見て、心の中でさけびました。


 麺が伸びきってるじゃん。しかも何これ、どうして味噌ラーメンのスープが透き通っているんだよう!!

 この状態をどう表現したらいいのでしょうか。さすがに大盛りだけあって、量は申し分ない。だけどその量は、麺が伸びた分で大方カバーされている。しかもどうやって作ったら、味噌ラーメンのスープが透き通るの?


 店主は私と目を合わさず、アベックの分のラーメンを作る作業に没頭しています。とにかく私はそれを食べてみることにしました。


 はしで麺をすくい上げただけで、ふにゃふにゃになっているのがわかります。しかもそのスープ。インスタントの味噌汁についている味噌を、基準量の4分の1だけ使って作った味噌汁といったらいいでしょうか。


 今までしゃべりまくっていたアベックのところにもラーメンが行きました。突然、二人は沈黙。店内に、針一本落としてもわかるような静けさが漂います。外へ一歩出たら、車や人々の喧騒に包まれる都心の一等地でなんじゃこの森閑とした雰囲気は。


 かつてテレビで見たカリスマラーメン屋の店主は、お客の私語や携帯電話を許さず、ピリピリとした緊張感が店内に満たされていました。おいしい、まずいの差はありますが、特殊な状況下におかれると、人は押し黙ってしまうんですね。


 ここでマーケティングの有名な定説があります。


●お客さんに不満があっても、直接苦情を言うのは4%にすぎない。後の96%は、ただ怒って二度と来ないだけである。

 自分の場合、あとの96%に入るのだと思います。一杯500~600円のラーメンでいちいち苦情を言っていたのではたまりません。しかし、次の数字は、商売をしている人には致命的な事柄なのではないでしょうか。 


●1件の苦情があれば、同様の不満を持っている人は26人はいると推定される。

●不満のある人は、それを平均10人に話す。13%の人は20人以上に話している。

 経験上思うのは、ほとほどにおいしいラーメンというのは、あまり記憶に残っていないということです。ところが、まずいラーメンは、結構、記憶に残っている。その不満がいつまでも頭に残っていて、かなり時間が経過していても、何かの拍子に人に話すんでしょうね。


 今の私みたいに。ちなみに上記の数字は、インターネットがなかった時代のものです。今は下手したら、1人の不満が数千人に知れ渡ることにもなりかねませんね。


 しかし、救いの道もあります。昨日のブログに書いたように、お店側が苦情に対して適切な対応を行った場合は、次の結果になるのです。


●しかし、苦情を言った人のうち60~70%の人は、苦情が解決された場合、相手と再び取り引きしてもよいと考える。しかも解決が迅速に行われた場合、その比率は96%にまで跳ね上がる。そしてよい噂話として、人に話す

 

 それにしても、件のラーメン屋。何十年も、あんなまずいラーメンを出し続けてきたのでしょうか。土地建物が自分の所有だったら家賃はかからないとしても、どうやって採算を取ってきたのかなぁ。誰も、「まずい」と指摘する人はいなかったのかなぁ。


 いまだによくわからない。謎は深まるばかり…。