脳卒中はどんな病気か。医師と女子高生の会話から | ビジネス便利屋のここだけの話

脳卒中はどんな病気か。医師と女子高生の会話から

こんにちは。今日は日曜日ということで、少し趣向を変えてお届けしてみようと思います。


 現在、私の本業で考えている取り組みが、病気の内容や治療法をやさしく一般の人たちに伝えてゆく方法です。予備校教師の書いた「経済のしくみをやさしく解説する本」みたいに誰でもよみやすく、わかりやすく、面白く、できたらいいなと思って、サンプルを作ってみました。


 まだ完成品ではありませんし、手直ししなければならない部分はたくさんあると思いますが、いつも私のブログをお読みいただいている方に、最初の読者になっていただきたいと思います。


 題して、『世界一やさしい脳卒中の話』。

 登場人物は、脳外科のベテラン医師と現役女子高生のAYAちゃん(松戸あや)の二人。 


AYAちゃんは、おじいさんが脳神経外科病院へ入院したことで、毎日お見舞いに通ってくる元気な女子高生。将来、看護師になることを夢見て、おじいさんの担当医師から脳卒中のことを勉強しているという設定です。


まずは冒頭部分から。


● AYAちゃん「そもそも脳卒中って言葉自体、なんか変ですね。ほかではあまり聞いたことないし…」



 卒然という言葉、聞いたことあるかな? 突然と同じ意味なんだけど、『卒』には『急に』という意味があるんだ。それから、『命中』という言葉は知っているよね。矢が的に当たったときなどによく使うけど、『中』には当たるという意味もある。だから昔の人は、今まで元気だった人が突然、何かに当たったように倒れる姿を見て、脳卒中と名づけたんじゃないかな。ちなみに『卒中』という言葉は、平安時代にもあったそうだよ。


● AYAちゃん「ふーん。そんな昔からあったんだ。ところで先生、脳卒中ってひとことで言えばどんな病気なんですか?」


 いきなり来たね。ひとことで言えば、『脳の血管の病気』と言っていいんじゃないかな


● AYAちゃん「脳みその病気じゃなく?」


 そう、脳の血管が破れたり詰まったりして、脳が生きていくために必要な酸素や栄養が行き渡らなくなってダメージを受ける状態。つまり脳の血管がおかしくなった結果として脳がやられてしまうんだ。


● AYAちゃん「ふーん。そうなんだ」


 脳って、ものすごい大食漢なんだよ。重さは、大人で1200~1,400gぐらいだけど、心臓から送られる血液の15パーセントが脳に流れ込んでいるんだ。ところで脳の栄養ってなんだかわかるかな?


● AYA ちゃん「ゲッ。先生みたい…。って、お医者さんは先生なんだけど…。確か、血液は酸素と栄養を運んでいるんですよね。そういえばコマーシャルで、脳には砂糖が必要だって言っていたような」


 ご名答。さすが現役女子高生だね。そう、脳の栄養源はブドウ糖なんだよ。あの小さな脳が、体に取り入れられたブドウ糖の4分の1を消費し、酸素にいたっては3分の1も消費するんだ。もっとも、人間が生きていくうえで一時も休まず働いているんだから、それだけ食べないとやって行けないわけなんだけど…。


● AYAちゃん「じゃあ、何かのきっかけで血液が脳に流れなくなったら?」


 脳細胞は死んでしまうんだ。脳というのはとてもデリケートな器官で、血液が3分も流れてこなくなると脳細胞は死んでしまうんだよ。当たり前だけど、一度死んだら生き返らない。ウルトラマンのカラータイマーは、太陽エネルギーが残り少なくなると点滅を始めるよね。そしてもしカラータイマーが消えてしまったら、ウルトラマンは二度と再び立ち上がる力を失ってしまう。血液は、脳細胞にとって、ウルトラマンの太陽エネルギーと同じ役割を果たすんだ。一度血液が途絶えたら、脳にとって残された時間は後わずかしかない。


● AYAちゃん「ウルトラマン? カラータイマー?何ですか、それ?」


…失礼。ジェネレーションギャップがあるようだから話を変えようか。脳は酸欠状態に極めて弱いんだ。さっき、血液は酸素と栄養を運んでいると言ったよね。血液が脳細胞へ来ないと、たった3分でも脳の細胞は、酸欠状態と栄養不足になって死んでしまうんだよ。


● AYAちゃん「それは大変。すると脳へ大切な血液を運ぶ血管が破れたり詰まったりしたら、それこそ一大事。まさに物流の大動脈なんですね。」


  うまいこと言うなあ。私はよく、血管を道路にたとえるんだけど、脳へと向かう国道とも言うべき幹線道路は全部で4本あるんだ。その道を酸素や栄養素を満載したトラックが通って、脳の細胞一つひとつに血液を届けるんだよ。


● AYAちゃん「それは私たちの体のどこを走っているんですか?」


 まず首の前のほうに2本の動脈(内頚動脈)がある。それは枝分かれしながら大脳の前の部分に広く広がっているんだ。それから首の後ろのほうを走る2本の動脈(椎骨動脈)。これも枝分かれしながら大脳の後ろの部分や小脳、脳幹といった部分に血液を運んでいる。脳はこの4本の大きな血管から枝分かれした血管が、それこそ網の目のようにはりめぐらされているんだよ。


● AYAちゃん「田舎のおじいちゃんの家を車で訪ねるのに、広い国道から県道、市道を通っておじいちゃんの家の前の私道に車を停めるみたいな?」


 そうだよ。


● AYAちゃん「じゃあ、ほんの3分間、血液の宅急便が途絶えるだけで脳の細胞が死んでしまうなら、それを運ぶ道路は常にきちんと整備しておかなければいけないということなんですね」


 まさにおっしゃる通り。AYA君、さえてるねぇ。そこが、脳卒中は『脳の血管の病気』といわれる所以なんだ。


        ( 続く )


…ということで、長々とお読みいただきありがとうございました。何かお気づきの点、手直しのいいアイデア等ございましたら、お聞かせいただければ幸いです。


明日からまた、「上司の人間的魅力シリーズ」を再開させていただきます。