あなたが望むものを他人から得るには | ビジネス便利屋のここだけの話

あなたが望むものを他人から得るには

今日は土曜日。だけどオフィスで仕事です。早めに外で昼食をとり、帰りに100円ショップに寄って、ペットボトルのお茶やコーヒーを買いました。


 なんか食べるものも欲しいなと、店内を歩き回って見つけたのがおつまみのコーナー。あまり酒には強くないのですが、おつまみは好きで、それだけでもよく食べます。なんとなく気分で、サラミとチーズを買って帰りました。


 オフィスに戻り、コーヒーを飲みながらサラミでも食べようと、そのパッケージを見て絶句。  


ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~、犬用と書いてあるぅぅぅぅぅぅぅぅ~!!!  


 私が買ったのは、ペットコーナーの食材だったのですね。しかし、あの陳列の仕方は人間様のおつまみコーナーとまったく遜色なかった。注意力散漫もよくないが、それにしても…。


 今、私は、人として重大な岐路に立たされています。目の前ににある犬用のサラミとチーズ。すごくおいしそう…。食べても死なないことだけは確か。


 食うべきか、食わざるべきか。じっくり考えて結論を出したいと思います。


  さて、昨日に引き続き、ロバート・コンクリンの『説得力』から。


 この本の中で、私が一番忘れられず、また営業マンとしてだけでなく、人としてこうありたいと思わせる営業法則のことがあるって書きました。たぶん、この本の著者が一番言いたかったは、次のフレーズなんでしょうねぇ。


●あなたが望むものを他人から得るには、他人の望むものを彼らに与えればそれだけ、彼らはあなたに、あなたの望むものを与えてくれる。

 なんか哲学問答みたい。この本は、こんなフレーズでずっと書かれているもんだから読みにくいんですな。言ってることは簡単なことなんですけどね。簡単なんだけど、これを人生の指針として徹底してやり続けることって簡単じゃない。


 よーするに、営業マンがお客さんに、自分の会社の商品を買ってもらいたいなら、お客さんが望んでいることをまずかなえてあげなさいよ、って言っているんでしょう。売る前に、お客さんが望むものを彼らに与えなければならない。その逆ではダメですよ、ってこと。


 そのためには、お客さんが望んでいるのが一体何なのか、知る必要があります。これが本の中で何度も出てくる顧客ニーズというもの。それに応えていくのが、いい営業マンなんだと結んでいます。


 確かに、私の知っているトップセールスマンたちは、方法はどうあれ、皆この要素を持っている。私にかつて保険を売りつけた営業マンは、当時パソコン初心者で、途方に暮れていた私に助けの手を徹底的にさしのべて、契約を結ばせました。プロバイダの設定やインターネットの接続の仕方など、全部、数日にわたって手取り足取り教えてくれたのですよ。


 その間、一度も保険のセールスはされなかったのですが、最後はこちらから、「入るよ。入りますよ」っていう気分にさせられてしまった。


 コンサルタントの大親分みたいな船井総研の船井幸雄氏も同じことを仰ってます。


●「ギブアンドテイク」ではダメ。今は、「ギブアンドギブ」だ、と。

 つまり、お客さんから見返りを期待して営業するのはまだ甘い。お客さんが望むものを見返りを期待しないで与え続けろ、ってことですな。


 まさに、聖人君主! だから、あれだけ大きなコンサルティング会社を作ることができたんだろうな~。


 それはともかく、元総理の竹下登氏の「かしかり帳」も有名な話です。何でも竹下氏は、若い頃から、周りの人たちを助けたり、困っていることに応えたりすると手帳に「貸し」と記入したんだそうな。そして知り合い全員に「貸し」という形になるように頑張ったとか。


 背が低いし、どちらかというと押しが強いタイプでもない竹下氏が総理大臣に上り詰めたのも、「ギブアンドギブ」の精神を貫いたおかげなのでしょうか。


 営業で、このギブアンドギブの精神を使うとしたら、どんなことが考えられるでしょうか。


 私は、上記の人たちほどすごくはないですが、それでもいろいろ考えてやったことがあります。


 たとえば、ギブアンドギブの精神を理解してくれるお客さんだと思ったら、  


●お客さんの会社の業界情報や景気動向、近隣情報などのお得情報を持ってゆく。  


●困っていることがあれば相談に乗る。  


●記念硬貨が出たら銀行に並んで両替し、持って行く。  


●取引先の企業を紹介する。  


●プライベートの旅行へ行ったときのお土産や会社の粗品を持って行く。 など。


 ポイントは、すぐ見返りを求めないということですね。たとえば、どうしても深耕したいお客さんの場合、6ヶ月間、そのお客さんは営業するのをやめようと思う。そしてその間ずっと、上記のことを行って、恩を売り続けるのです。


 最後はお客さんの方で不安になってくるみたい。そして機が熟したと思ったら、その会社を訪問する。そして、社長さんに、


 「今日は、社長さんに折り入ってお願いしたいことがあって参りました。実は…」


 と、真剣な表情でお願いするのです。そのときの社長さんたちの顔は、心なしかほっとした表情だったのを覚えています。