「確実にセールスに成功する法」ってホント? | ビジネス便利屋のここだけの話

「確実にセールスに成功する法」ってホント?

昨日のブログで、営業マンは、お客さんのバイイングポイント(買う理由)を見出す感度を磨くことが大事だと書きました。そのためには、お客さんにタイミングよく質問し、ニーズを把握すればいいのだ、と。


 そして、ロバート・コンクリン(ゆうこりんじゃないですよ←しつこい。知らない人はネットで検索してみよう)というトップセールスマンの書いた『説得力』という本の中に、この効果的な方法が紹介されているとも触れました。


 さて今日は、この『説得力』という、かなり昔ですが全米で大ベストセラーになった本についてご説明しましょう。


 この本をひとことで言いますと、トップセールスマンのノウハウものですな。しかしかなり学問的です。だから結構読みづらい部分もある。読むのが早い私でも一週間以上かかった記憶がありますから。でも、ここに紹介されているエピソードは、著者の長年の経験から導き出されたものでとても興味深いですよ。


 この本の中で面白かったのは、昨日のブログで紹介した「確実にセールスに成功する法」です。これは著者の成功体験から導き出されたひとつのノウハウですね。


 著者は不動産会社のセールスマンをしていた頃、お客さんと売りに出ている家を一緒にまわって営業したのだそうです。そのとき、お客さんのニーズを聞き出す、もっとも効果的なセールストークが次のフレーズだったとか。


●「どうしてこの家をお買いにならないのです」  

なんじゃこれは、と思われる方もいるかもしれませんね。でもよく考えてみると、お客さんを前にして、こういう質問の仕方をする営業マンは多くないと思いますよ。


 一番多いのは恐らく、「この家をお買いになりますか?」という問いかけでしょう。もちろんこんなストレートに聞くことはないでしょうが、大体このバリエーションの中で営業している。いわば想定の範囲内。


 この本の中で著者は、こういう聞き方は、「はい」か「いいえ」の答えしか引き出せないと言っています。すなわち、それだけではお客さんのニーズがどこにあるのかわからない。


 ところが、「どうしてこの家をお買いにならないのです」という聞き方は、相手の感情と思考、そしてお客さんのその家に対する正直な感想に対して直接訴えかけている


 …と、言うんですな。そして、この聞き方は、さわやかで、誠実で、そして具体的な頼み方であるとも書かれています。


 同じ方法を他の不動産会社の営業マンに伝授したところ、一年間で成果が三倍になったとか。また、生命保険の営業マンもこの質問でお客さんのニーズを聞き出してセールスしたところ、大成功を収めたそうです。


 逆に言うと、いかに営業マンは、お客さんのニーズがどこにあるか知らないまま営業しているということかもしれませんね。


 確かにこの質問をして、お客さんが答えてくれた内容を徹底的に聞くことはとても大切なことだと思います。そして、そのニーズを満たす対応策を、お客さんと一緒に徹底的に考えてあげる。このポリシーは、いま流行の「提案営業」にも通じるものがあるんじゃないでしょうか。


 自分の例で言うと、やはり使えますよ、この方法は。


さんざん営業して、お客さんが迷っているとき使うと結構グーです。困ったちゃんのような顔をして少し笑いながら言うと、大抵のお客さんは迷っている理由を言ってくれます。


 そこで、「ああ、なるほど。確かにおっしゃる通りですね」と言って、大げさにうなづき、「大変参考になります。もっとお聞かせいただけませんか」とさらに促します。うまく相槌をうちながら神妙な顔をして聞き入っていると、とうとう本音を話してくれます。


 「買ってもいいけど、この点がネック」とか「買いたいんだけど、ずっと昔このメーカーの別の製品が故障して困ったことがある」など。


 このあたりの本音は、もうバイイングポイントに直結していますよ。その部分さえクリアできれば、もう買っていただけたも同然。持てる営業能力のすべてをその部分に注ぎ込み、一気にお買い上げに持っていくことも可能です。


 やっぱりトップセールスマンの経験から導き出された理論と法則は使えることが多いですね。 


 ロバート・コンクリンの『説得力』にはもうひとつ、忘れられない営業法則が書かれていました。これは、デール・カーネギーの「人を動かす」にも同じことが書かれていて、営業マンだけでなく、人としてこうありたいと思わせるものです。


 その点については、また次回…。