私の仕事に役立ったビジネス書10 (面接試験を突破するには2) | ビジネス便利屋のここだけの話

私の仕事に役立ったビジネス書10 (面接試験を突破するには2)

  昨日のブログは、私の就職活動の経験でしたね。会社訪問で連戦連敗中の日曜日、友人たちと代々木公園に遊びに行き、帰りの電車の中で面接試験の失敗の理由に気づくというところで終わってしまいました。まだお読みでない方は、このひとつ前のブログをお読みください。


 今日はこの続きです。電車の中で考えたのは、私と同じく面接試験に失敗し続けている友人の表情でした。いつもははつらつと自信にあふれているのに、今日はなぜか元気がない。顔色が悪く、目の下にクマができ、暗いのです。失敗し続けているから当然なのでしょうが…。


 この元気がないというのは、彼がいつもは明るくはつらつとしている顔を知っているから元気がないと感じるのであって、知らない人が彼を見たら、ネクラなおやじ顔の大学生と思うでしょう。あぁぁぁぁ、あんな顔して面接へ行ったら落ちるよなぁ、とつり革につかまりながら苦笑しました。自分は、あんなことないばず…???


 夜になっていたので、電車の窓ガラスに自分の顔が映っています。それを見て驚きました。


 やっぱり、暗い。こ、これは、以前、写真集で見た太宰治の自殺する前の顔じゃ。


 もちろん当時の私も、第一印象が大切だということは知っていました。面接試験で聞かれたことにはハキハキ答えているし、服装も典型的なリクルートスタイル。いすの座り方や目線などにも気を配っています。言葉遣いも完璧。


 だけど無表情。これって、その後私も面接官の経験があるから言えるのですが、面接官からするとすごい不気味なんですよ。何考えてるかわからない。能面のような顔が、いきなり鬼に変わって飛びかかってきそうな恐怖感もある。しかももっと悪いのは、その無表情で、ぺらぺらよくしゃべること。


 無表情でも、あ、彼は緊張しているんだなと面接官がわかれば、それなりに情状酌量の余地はあるかもしれません。しかし、ぺらぺらしゃべりまくられると、これが彼の地なんだろうと思われる。やっぱり傍から見て、生意気に見えますよね。


 お前は、田原総一郎か!!!

 と、言いたくなる。あれだけ功なり名を遂げた人が言う分には理解されても、大学生が同じことをやったら反発を買います。とくに協調性を採用基準にしている会社だったら一発でアウト。誤解があるといけないので書きますが、無表情でやったらいけないというだけで、表情豊かに笑顔でしゃべりまくるならプラスになると思いますよ。


 今から考えると、私の失敗は、無表情で面接の部屋に入っていったことですね。当然、入ってくる私を面接官は見ています。その第一印象で、その学生を採用するかどうかかなりの部分左右されると思います。

 ここで、お約束の多湖輝氏の心理学の実践書シリーズには次のような記述があります。


●知り合った瞬間に持つ印象が、この先近づきたいか距離を置きたいかを決する。とくに相手の受ける第一印象から判断するのに要する時間は、長くても10秒間。


 だから最初の十秒間こそ笑顔で好印象を与えるのが勝負なのです。面接の冒頭で、笑顔ではきはきと好印象を与えられれば、そのあとの面接でもそのときの印象が持続します。


 その点で、私の二つ目の失敗は、あまりにも堅苦しく若さの感じられないネクタイをしていったことです。デパートで買ったので値段は高かったのですが、少し黒みかがった無地のえんじ。デパートの店員さんも、あまりいい顔はしていませんでしたが、金融機関を受けるのだからととにかく無難すぎる選択基準で選んだのです。


 二十うん年後、そのネクタイをたんすから出して見たのですが、これは中年というよりご高齢の方がすると似合いそうなネクタイです。これでは若さがないと思われても仕方ない。でも当時の若かった自分にはそれがわからなかった。


 代々木公園へ友人と遊びに行った次の日の会社訪問で、180度方針を改めました。スーツは紺色のリクルートタイプでしたが、ネクタイは少し赤みがかった派手目の柄。そして何より最初が肝心と、明るく元気な笑顔で面接試験場へ入っていきました。


 結果は、今までの不振が嘘のように内定が続出し、もう就職活動が終盤戦にかかっていたにもかかわらず、最終の会社説明会で地方銀行から内定をもらうことができました。あとで聞いたのですが、最終日だったので受験者約80名中、内定をもらったのは2人だけだったとか。


 面接といっても、当然評価するのは人間です。ほんのちょっとポイントを変えるだけで、こんなに結果が違ってきてしまうんですね。


 ところで後日談。私が会社訪問で落ちた銀行や会社は、皆、その後のバブルの影響で倒産したり吸収合併されてしまいました。当時の人気企業ランクでは上位の企業ばかりでした。そこの会社に入っていれば、当然、仕事以外の別な面で苦労を味わうことになったでしょう。


 今とどっちがよかったかわかりませんが、「塞翁が馬」的なことはあるんじゃないでしょうか。