クレーム処理でファンを作る法 | ビジネス便利屋のここだけの話

クレーム処理でファンを作る法

 昨日、家へ帰る途中の商店街で、お客さんと電気店の店主が言い争っている光景を目にしました。お客さんは、六十歳ぐらいの男性。「男はつらいよ」に出てくるタコ社長みたいに顔を真っ赤にして怒っている。


 何を言い争っているのでしょうねぇ。


 道行く人たちは皆、係わり合いを避けるように通り過ぎていきますが、必ず興味深そうに振り返って見る。私もそう。ゆっくり歩きながら、何度も振り返ってそのやりとりを見ました。見たいけど、立ち止まってその顛末を遠くから見ているのもなんだし…。


 この喧嘩、俺が買ったぁぁぁぁぁぁ~、というのは時代錯誤。「およびでない?こりゃまた失礼しました」と言いいながら、ずっこけるのはもっと時代錯誤。こういうときの第三者の対応は難しい。


 でも、第三者として確実にいえるのは、商店街のみんなの見ている真ん中で、お客さんと喧嘩しちゃまずいですよ。たとえ理由がどうあれ。


 さて今日は、クレーム処理について書きたいと思います。クレーム処理は、どこの会社でも、プライベートでも、誰もが経験のあることですよね。


 早い話、幼稚園の子供でもやってます。たとえば、○○ちゃんが、別の子のおもちゃを取ったり壊したりしてしまったケース。当然、不利益を被った子は、○○ちゃんに不平を言います。○○ちゃんは、その子の不満に対してクレーム処理をしなければならない。うまくクレームを処理できなければ、先生に言いつけられて怒られる。その子に納得のいく説明ができるかどうか。きちんと誤ればそれですむ場合が多いと思うのですが、子供のことだから大抵こじらせてしまう。


 子供の世界ならまだ笑い話ですみますが、ビジネスの世界ではそうはいきません。昔からのお得意先を怒らせて、取引停止なんてことになったら、担当者は給料カット。悪くすると降格なんてことになりかねない。


 当然、取引停止になる前に、お得意先はクレームの意思表示をしたのでしょう。クレーム処理に失敗して、火に油を注いでしまったというケースは結構あるんですよ。


 逆に、クレーム処理に成功したばかりか、かえってお得意先がクレーム担当者のファンになり、取引が拡大するケースもあります。


 ビジネスでお取引先をもっている方は、最初の取引経緯を調べてみると面白いですよ。結構、大口取引先で、最初クレームが発端になっているというケースは多い。クレームに対して、誠心誠意応えているうちに自分の会社のファンになってくれたんですね。 


 私事で恐縮ですが、私が今取引していただいているお客さんの中にもそういう会社があります。銀行に勤めていた頃からですからもう二十年以上ですか。最初のお付き合いの発端はやはりクレームからです。

 当時は銀行の方針というものもあって、一社だけ特別扱いできないということもあったのですよ。だけど、そんなことはこちらの都合で、お客さんにとっては何の関係もないこと。その頃は絶えず電話がかかってきて、ヒヤヒヤの毎日でした。私も若かったので、何度も通って説明しました。


 結局、「銀行の言うことはよくわからないが、君の立場はよくわかる」と最後は納得してくれました。


 私の会社が創業のとき、その社長さんは助けてくれた一人です。さんざんクレームをぶちまけたから、親近感がわいたらしいです。


 クレームは、お客さんの本音をストレートに表現した形だと思います。だから、それに一生懸命応えているうちに、プライベートでも本音で付き合えるようになる。うまく処理できれば、最高の取引深耕策だと思います。また、本音から出た言葉だから、マーケティングに利用すればものすごい効力を発揮する。